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イタリアの躍進は続くか?

世界の主要ワイン市場を見ていると、 イタリアワインの躍進が目につく。女性層を中心に欧米で大ブームになったモスカト(マスカット)と、シャンペン人気にあやかって市場シェアーを大きく伸ばした プロセッコ。ともにフルーティーで酸味も抑えめ。アルコール度数も価格設定も低めで、一般消費者受けする商品だ。『プロセッコの 値段はシャンペンの3分の1ほど。高嶺の花のシャンペンと違い、気軽に日常的にスーパーで買える。モスカトは華やかな香りに加え、グレープジュースにアルコールを加えたような軽い甘みが魅力で、お酒に強くない若者やダイエット嗜好の女性も気軽に手が出るというのが、ヒットの一つの要因であろう。』)

 

ピノグリージョやキャンティでおなじみのイタリアワインは世界中に流通しているが、 今後のイタリアワインの伸び率は、世界最大のワイン消費国 アメリカと、ワイン貿易をリードするイギリスの2国が 、握っていると思われる。米国は最大のイタリアワイン輸入国で、16年度に$1.8 billion相当を輸入。英国は二位だが、16年度は米国を抜いて最大のプロセッコ輸入国になった。最も輸入事情は為替レートに左右される。今の強い米ドルなら、輸入品(イタリアワイン)に対する購買力があるが、ブレクシットの影響で割安になった英ポンドでは EUからの買いものがままならない。そんな裏事情もあり、今までシャンペンの最大輸入国だった英国が、割安のプロセッコに注力したのだろう。

 

この2国の消費者動向と仕掛け人(ワイントレード)を分析していくと、次のヒット商品が見えてくるのではないか。両国に共通するのは、ミレニアル世代(1980〜2000年生まれ)の台頭と、ワインの供給ルートの二極化だ。 倹約志向のあるミレニアル世代はクラフトビール、カクテル好みで、ワインの消費はイマイチ。彼らを取り込むことが、ワイン業界の課題だ。ミレニアルは ちょっと変わった、クラフト的な、「面白い」銘柄に興味を示す傾向があるという。うってつけにイタリアには、何百という地場ぶどうがあり、仕掛け人は、こちらに注目しているようだ。米国ではソムリエを中心に「シチリアワイン」や、「チロルの白ワイン」をプロモートし、玄人受けしているが、英国でも小回りのきく中小の輸入業者が、割安で面白い地場ぶどう品種ワインを紹介し始めているという。

 

ちなみに、米英では供給ルートの M&Aが続き、現在の構図は「超大手酒販企業数社」と「その他大勢」の二極化だ。大手はスーパーやレストランチェーンなどを取り込み、当たり前の有名ブランドや大量生産ワインを流通しているが、中小業者の持ち味はフォットワークの軽さと、自社が特化した分野の海外ワイン生産者との太いパイプだ。ポートフォリオは小さいながらも、大手は振り向かない面白い少数生産ワインなどを発掘するのが得意だ。しかもこういうワインは概して仕入れ値が安いので、ある程度の利幅が確保できる。イタリアは、小さな輸入業者にとっても、大手にとっても、宝の山になり得る。

 

その他の注目筋では、ヒット商品のモスカトとスパークリングワインを掛け合わせたスパークリング モスカト(これはイタリアでは『アスティ』と呼ばれる歴史ある飲み物)、ロゼブームに便乗して有名地場ぶどう(サンジョベーゼ=キャンティやブルネロワインのぶどう、ネビオロ=バロロ)で作るロゼがある。またすぐに飲めるワインとしてプロモートしやすいのは、大量生産のブレンドワイン、バルポリチェラ(ボージョレと類似)や赤ワインの発泡酒、ランブルスコだろう。これを冷やして飲むというのが、一昔前のアメリカで流行ったが、このカムバックはあるかもしれない。いずれにせよ、懐が深いイタリアワインに対するワイントレードの今後の動きに注目したい。

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