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ロゼワインの快進撃が止まらない!

昨年「ワイン業界の、次のホームランは何か?」という題名で記事を書いたが、その時に人気のロゼワインを失念していた。というか、ロゼが世界の注目を集めだしてから既に10年近くが経っており、話題性が見出せなかったからだろうか。不徳の至りである。同じロゼでも、いわゆるホワイトジンファンデルやら、ブラッシュワインと呼ばれる甘口のロゼではない。正真正銘のプロヴァンスのロゼである。

 

ロゼの世界的ブームに火をつけたのは、本国フランスとアメリカだ。ロゼといえば美しいサーモン色をした、辛口の南仏プロヴァンスがご本家。フランス人のワイン離れが加速して久しいが、ロゼの売り上げは、白赤ワインの低迷 をよそに上昇する一方で、今ではワインの3割を占めるまでになった。その火付け役は、ミレニアルと呼ばれる1980-1996年生まれの(これは統計者によって多少の差があるが)若者たちで、ビールやカクテルを好むいわゆる「ワイン離れ世代」だ。その彼らが何故ピンクワインに飛びついたのだろうか?

 

幾つかの要因が考えられるが、まずロゼの身軽さだろう 。超辛口から甘口まで何でもあるし、飲みやすいフレッシュさが売りだが、白ワインほど軽くもないし、赤ワインほどシリアスではない。価格帯も3ユーロから15ユーロと手ごろで、夏の暑い盛りにキンと冷えたグラスで飲むとたまらない。それとカクテルのベースとしても面白い。フランスでは特に若い女性に人気が出たようで、南仏の住人や旅行者、そして全仏で売っている手ごろなスーパーマーケットロゼも含めて、大ヒットと成った。フランスは世界で一番ロゼを生産する(7.6 ヘクトリトル)国だが、昨年は需要が上回り(8.1ヘクトリットル)ロゼを外から輸入したほどだ。お陰で、フランスは世界最大のロゼ生産、消費、輸入国となった。ちなみに輸出はスペイン、イタリアに次いで3番目。スペインとイタリアとの大きな違いは、フランスは国内で大量のロゼを消費する国だということ。

 

驚くことに、ロゼ第2の消費国はアメリカで、フランスとアメリカの2国で世界の半分のロゼを飲んでいる。というと、『だってブラッシュワインを沢山飲むからでしょう?!』と言われそうだが、それは過去の話。ワイン文化が定着してきたアメリカでは、ボージョレヌーボーやブラッシュを飲む階層(?)は減ってきている。フランスのロゼの発祥地もリゾート地だが、アメリカでのロゼワイン流行の火付け役は、ニューヨークの避暑地、ハンプトンであった。筆者も現役の金融マンの時に、夏になるとハンプトンに週末別荘を借りて、通ったものだ。経験者ならよく分かると思うが、マンハッタン族が多く滞在するハンプトンでは、ショッピングやレストランに行くとご近所さんや同僚にばったり出くわすことがよくある。要は、同じ人口が週末はビーチハウスに住んでいて、平日は市内に帰って、仕事をしているというわけだ。

 

暑いニューヨークの夏を、ハンプトンで過ごした人たちの間で愛飲されたのが主にフランスのロゼワインというわけ。これだけの話であれば、どこの国でもあることだが、そこはわがニューヨーカー達。夏が終わって自宅に帰っても、ペアリングによく合い、守備範囲の広いロゼを日常的に飲み始めたのだ。更に革新的だったのは、若い男性達がロゼを支持して、わざわざメディアに「男だってロゼを飲む!いや、男らしい男はロゼを飲もう!」と呼びかける始末。まあ、頼もしい。お陰で、全米に広がったロゼブームであるが、今ではアメリカ人のロゼ人口比率は、男女半々近くになってきているとか。

ロゼが流行るには、消費者の支持だけで無理で、生産者及び流通業者のサポート体制が不可欠だ。その点、アメリカはフランスと違い、どんなブドウも育つし、どんな品種を使っても法的に許されるので、すぐにフランスの品質にマッチするロゼを生産するようになった。お陰で今ではどこのスーパーに行っても、プロヴァンスは勿論、国産、輸入ロゼが一年中並んでいる。そうだ、今夜は久しぶりにロゼを飲もう!

 

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