日本人のマナーについて(1)ワインとテーブルマナーなど

近年はどこの国でもテーブルマナーが緩やかになってきている。略式社会のアメリカでは、高級レストランで食事をしていても、ナイフとフォークをきちんと使いこなす人は少ない。大抵はナイフを使わずに、利き手に持ったフォークをナイフ代わりに使っている。日本人を含めて東洋人に多いマナー違反は、肩肘をテーブルについて食事をすることだろうか。ヨーロッパ風のマナーから見ると、いずれも美しくない所作ではある。

ではワインを飲む際に、一番目につくマナー違反は、なんであろうか?それは、柄(ステム)を持たずに、直接グラスを持つことだろう。折角ワインに手が触れないように設計されたグラスなのに、これでは意味がない。ステムを持つことで、ワインに手の温度が伝わらないように配慮されている。ワインやシャンパンは温度の変化に、とても敏感なのだ。

また、ソムリエがいるレストランでボトルを注文した場合、お代わりのサービスが遅いからといって、席から立ち上がってクーラーからボトルを取り出し、自分で手酌するのも、あまり品が良いとはいえない。気の短い東洋人ににこの手の行動が多い。東京っ子でニューヨーカーという「滅法気の短い」筆者も、こういう「トロイ」サービスにはイライラするタイプだが、どうしようもない時にはとりあえずソムリエを呼び、「自分たちのペースで飲みたい」ので、テーブルにボトルを置いてもらい、「自分で次ぐから気にしないで」と一言言っておく。高級なレストランであればあるほど恐縮して、もっと気をつけますから、こちらで給仕させてくださいと言ってくるが、その際には余裕の笑みを浮かべて、「実は互いにワインを注ぐのが楽しいの」とでもいい含める。

当人に悪気はないが、自国以外のマナー知らずで、誤解を招くことも多々在る。先日、日本企業の出張者と会食をした。男女混合のテーブルで、ウェイトレスが女性の出席者に椅子を引いた瞬間に、男性の上司がその席に座り込んだのには、驚いた。戸惑ったウェイトレスが気を取り直して、まず女性から注文を取ろうとメニューを持って女性の席に近寄った瞬間に、隣の男性社員がそれを遮るように自分の注文をする。また、英語で顧客と話しをしている時に、英語を解さない女性社員が、甲高い声で日本語の内輪話をする。やんわりといなしたが、いずれも米人の顧客に違和感を残す。

当然、外国人も日本を訪問する際には、日本の常識を学ぶべきだ。長蛇の列が並ぶ、サラリーマンのランチタイムに、だらだらと長居するのは美しくない。これがアメリカなら、事情が違う。長々と食べている人のペースを尊重して、さっさと他の店を探す。決して、マネージャーに苦情を言ったり、イラついたりはしない。ヨーロッパであれば、じっと文句を言わずに待ってくれる。非我の常識、カルチャーの違いだ。

見ていて気の毒になるのは、 マナーを意識し過ぎて不自由な思いをしている人だ。切れ味の悪い ナイフと格闘したり、不自然なデザインで使い勝手の悪いフォークやスプーンに我慢する必要などない。 さっさと手でつまんで食べたり、違う道具に換えてもらえば良い。マナーとは所作の美しさであり、人に不快を与えないことだが、自身が目の前の食事やワインを心から楽しむことができなければ、本末転倒である。マナーのためのマナーなど、あってはならない。

 

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