¥18,000のお買い上げで送料無料(ヤマト通常便、一部地域を除く)

どうしてコルギンやピーターマイケルのアルコール度数は特に高いのか?

ワインのアルコールってどのくらい高い?と聞かれて、答えられる人は少ないかもしれない。スタイルによるが、5度程度から16度くらいまで様々だ。かつて20世紀に作られたワインなら、涼しいヨーロッパで12-12.5%程度、暖かいカリフォルニアでも13-13.5%と、今に比べてかなり低かった。ところが 今世紀に入ってからというもの、世界的にアルコール度数が上昇し続け 、今では新世界(加州、豪州など)のカベルネやシラーズなら14.5-15.5%なんて当たり前、あのボルドーワインでさえ14-14.5%という時代になった。理屈はこうだ。

 

果実酒(ワイン)のアルコール度数は、材料(ブドウ)の糖分の高低と比例する。要は甘い(糖分の高い)ブドウならアルコール発酵が活発で、高いアルコールを醸造できるわけだ。寒い地域の未成熟のブドウを使えば、その逆になる。だから、フランスやドイツのような寒い国では、ブドウに砂糖を加えて、アルコール発酵を促してきた。 ところがここ数十年、地球温暖化に加速がかかり、ヨーロッパの気温が上昇し続けた結果、ブドウが完熟するようになり、 まるで新世界のようなフルーティーなワインが蔓延するようになった。当然、アルコール度も上昇している。

 

もう一つ の理由に、ブドウ栽培技術の飛躍的な発展がある。 ブドウの樹や土中の、水分や栄養素をモニターし、タイミングを合わせてビタミン入りの灌漑用水を撒いたり、光合成が十分行き届く植樹管理を行うことで、まんべんのないブドウの完熟を確保できるようになった。更に拍車をかけたのが 「ビッグワイン」の流行だ。90年代からアメリカで始まった「どっしりとフルーティーで、アルコールが高い」ビッグワインは、影響力の強い評論家の押しもあり、世界中で流行してしまった。その結果、 十分甘いブドウができる温暖な地域でも、更に糖分を凝縮しようと収穫を遅らせた。こうしてできたブドウは、水分が飛んでレーズン状態になっており、もったりと味が濃く、そのまま醸造すると15.5-16.5%の高アルコールワインになってしまう。

 

さて困った。どこの国税庁でも、アルコール度数と税率の比例メトリックスは一緒で、米国の場合、アルコール度が14%を超えると、生産者に課される税金はワイン一本につきプラス50セント加算される。1万本しか作らない少数生産者でも、ましてや大企業ならその痛手は十分理解できる。そこでワイナリーでは、アルコール度数を飛ばす様々な装置や手段の登場となった。しかも糖分が高いブドウは、当然酸が落ちすぎているので、今度は酸を追加する羽目になる。醸造の理論を知らない素人が、「砂糖を足すフランス、酸を足すアメリカ」などと揶揄するが、砂糖を足すのはアルコール度数の調整のため、酸を足すのは黴菌管理で、甘くするためでも、酸っぱくするためでもない。(最も、味を変えるために加糖、加酸をする醸造家も多々存在するが、これは別の機会に。)

 

こういう「人工的な」醸造エンジニアリングに対する批判は、年々上がっている。本家本元と言われるカリフォルニアやオーストラリアでは、この反動もあって、近年はかつてのヨーロッパのような「エレガントでフレッシュ」、アルコール度が低いワインが台頭してきている。作り手はかつてヨーロッパで醸造を学んだベテランや若手が中心だ。プロの間での評判は高く、かくいう筆者もこういう作り手のワインを好む。とはいえ、どっしり系のいわゆるカルトワイン(ナパの最高級カベルネを少数生産する最高級ワイン)でも、美しいワインはある。(が、値段が高すぎる)。ワインのラベルにはアルコール%の表示が義務付けられているが上記のような理由もあり、あまり信用していない。信用できるのは自分の味覚だ。

 

話の最後に、最近訪れたナパ最高級の(品質と値段)ワイナリーでのお話。3件とも世界的に有名なワイナリーだが、ラベルを見ると15.5%-16%というアルコール度数。思わずニヤッとすると、案内役が「うちは正直にアルコール度を書いているんですよ」とのこと。その心は?「一本450ドルのワインなら、50セントのペナルティーを払うなんて、なんともない!」

 

 

コメントを残す

コメントは表示される前に承認される必要があります。