斎藤ゆきの深読み ー インタビューの真意を読み解く

MW受験生の小原陽子さんが、彼女のフェースブックで「一般人向け」にアップしたミニリポートです。MW受験のために、私たちは世界中のMWと会い、いろいろな知識や見識を学びます。今回は、その目的で英語で面談したものを、一般の方向けのトピックをピックし、日本語でサマリーしてくれました。リポートという形なので、彼女の意見や注釈は入っておりません。そこで、性格の悪い斎藤ゆきが、自分なりのロジックで、解説と意見を加えました。全く悪意ゼロ。単に、私はこう読んだというパロディーだと思ってください。そして、外国人が日本の何かについて(それが、日本市場でも日本食でも日本ワインでも)英語で語るときに、日本人が見落としがちがニュアンス(実はこれが最も大切)を読み込む力をつけたいと思います。

 

以下、太字が私の注釈、かつコメントです。まず、陽子ちゃんが書いたレポートだけを読んでください。そして、自分なりの理解と感想をイメージしてください。その上で、太字コメントを読むと、面白いかと。

 

小原陽子作ミニレポート

先日、世界で最も由緒と権威のあるワイン商BBR社のお招きでマーク・パードーMW(注:英国ベースのマスターオブワインで、上記ベリービラザーズラッドに勤務。1998年に就任)にインタビューをさせていただきました。
主な質問は同席したMW研修生と共に考えたもので、私たちの試験勉強のためのものでしたが、いくつか一般の方にも面白いと思っていただけそうなやり取りがありましたのでご紹介します。

◆日本の市場はなぜ海外の流れ(注:これは要注意です。海外とはどこを指すのか?消費大国のアメリカ、フランス、イタリア、ドイツに加えて、輸入大国の英国、中国など?とはいえ、文化などの違いがあり、英国と中国、フランスとアメリカでは、『流れ』は違います。ここは、きっちりと定義する必要があります。この点を事前に明確にすると、この質問の意図が更に研ぎ澄まされ、相手にも伝わりやすくなると思います)と違うのでしょうか?あれだけプロセッコ(注:英国が世界最大のプロセッコ輸入国)や甘口のワインベアフットなど(注:米国最大手のガロという会社が初心者向けに発売する6−10ドル程度のワイン。赤、白、スパークリングなど全てのカテゴリーでトップマーケットシェアーを保持)、ロゼワイン(注:ロゼワインについては、定義が必要ですが、この場合、『単にピンク色をしたスティルワイン』という感覚のはず)が流行しているのに日本ではほとんど相手にされない(注:日本は後発ながらも、微々たるスタートから現在二桁の成長率を記録し始めたというのが、私の認識。やっと仕掛け人が動き始めたか?)のはなぜですか?

そもそも、日本の市場は非常に洗練(注:どの英単語を使用したか不明です。恐らくsophisticated?この場合、高級ワインやフランスワイン主流のBBRにとって、日本はとても良い顧客であるという前提があるのかもしれません)され、成熟している(注:最新の英国発リポートでも、日本は高級シャンパーニュやクリュ レヴェル『=高級な』ブルゴーニュの輸入高ベースで、世界3大市場に入る)ことを理解すべきでしょう。世界の高級ワインの取引が行われている香港よりもはるかに成熟しているし(『成熟している」という意味を鑑みます。日本における高級ワイン輸入は、80年代のバブル期で最も活発になっているはず。その点、香港は少し遅れて(中国経済の急上昇との絡みもあり)参入しているので、日本よりは『成熟』=マーケットが古くないという意味だと解釈。ちなみに英語で「成熟市場」はMature marketと言いますが、成長期を終えて、安定しているという意味合いがあります。うがった見方をすれば、成長株の香港と、頭打ちの日本という構図が見えます。)ロンドンと同じぐらいと言っても過言ではありません。ー> これは同氏のリップサービスと読みべきでしょう。どういう英語を当てても、『同じ「位」と言っても「過言ではありません」』という言い方は、「同じではないよ。でもいい線いってる」というお世辞です。こういう英語のお世辞を日本人は真に受けるので、要注意!

プロセッコや甘口の(注:ここは『甘口』のきっちりとした定義が欲しい部分。恐らく質問者の意図は、『低価格で一リットルに対して15グラム相応の残糖分があるワイン』かと)カジュアルなワイン、口当たりのいい(注:これは悩ましい。口当たりの良いロゼとは?超辛口のプロヴァンスもこのカテゴリーに入るのか?酸味が比較的低くフルーツが強調される新旧世界のロゼは?などなど。憶測するに恐らく英語でeasy to drinkと質問したのかしら?)ロゼなどは基本的に発展途上にある市場(ー>プロセッコ輸入が世界最大の英国は、では発展途上の市場なのか?ここでは「市場」という日本語を当てていますが、恐らく同氏が意図した単語は「消費者層 = consumer segment だと思われます。そう読めば、同氏の意見は実に客観的で更に論理的になります)に向けた製品。飲みやすく、わかりやすく、価格も比較的安い。それらの役割はこれまでワインに親しんでこなかった層を取り込むためのもの。だからこそ、アメリカのミレニアルがその消費とブームの大きな火付け役となったのです。
日本のように成熟したワイン市場ではそれらの必要がないからでしょう〜>この部分については、私は全く違う意見。多少甘みのあるワインは、全くワインを飲んだことのない消費者の導入口だというのは、マスターオブワインならずとも、業界の常識ですし、経験則です。日本の市場は成熟した市場ではなく、昔からワインを嗜むセグメントについては、高級ワインやフランスワイン志向だというのは日本の常識でもあります。またワインの有資格者(或いはお勉強をした人たち)が増えれば、当然もっと良いワインをと、より高いワインを消費するのは、昨年発表されたティム ジャクソンMWの論文(是非、ご一読を。サマリーした論文はWSETのウェブサイトで読めます。日本のDipWSETなら全員当然読んでいるはずです。とはいえ、日本は(若い層は勿論、中高年層も)ビール酒の文化で、彼らは「ワインに対する洗練」からは程遠く、いわゆる「飲みやすく、懐が痛まない」ワインを!という世界の主流派でもあります。また、ここでは言及されておりませんが、味覚に関する国民性の違いが、ワインの普及にも影響しています。例えば、日本人とアメリカ人(ドイツ人もー>リースリングを思い出してください)の許容甘味量は、大きく幅があります。要は、アメリカ人と日本人では「甘い」という感覚が大きくずれてきます。酸味についても、旨味についても同じく。この基本的な違いを考慮せずに、『世界の流れと日本の違い」を論ずると、ちょっと片手落ちな感じがします。

◆ではたとえばロゼワインなどの高級レンジが増えていけば、日本の市場に合ってくることもあるのでしょうか。

可能性はないとは言えないけれど、そもそもロゼワインとは肩の力を抜いて気軽に楽しく飲むものです。難しい顔をして飲むものではないし、あまり高級化してほしくないスタイルのものだから、どうでしょうか。それよりもロゼは繊細な和食に合うものだから、そちらを追及する方がいいかもしれません。(注:まさにここです。しかも、和食は全て繊細な訳ではないので、超から、辛口、甘口などなど、ロゼと和食のペアリングには大きな可能性があるかと

◆ここ数年で市場の需要が目に見えて増えてきた産地や品種はありますか?

ロンドンの市場では東欧諸国のワインが売れています。これはフランスなど旧世界の定番のワインがどんどん高価になってしまい、一般の消費者に手が届かないものになった反動です。東欧のワインは定番の国々のワインに比べて非常に価格が抑えられていつつ、定番国の控え目なスタイルを踏襲しているので人気が上がっています。

◆自然派ワインのブームはどうお考えですか

当分の間は続くでしょうが、永遠ではないと思います。自然派というのは今後10年のワイン作りがどの方向へ向かって行くべきかという問いに対する究極の(極端な)答え(interpretation;解釈)だと思います。(全く同感。これは別途レクチャーやエッセーに落とそうかと)サステイナビリティや伝統的な手法への回帰などを、ある意味誇張して取り入れているものだと私は捉えています。自然派ワインはそのポリシーにお金を払うものであり(同感!)、そうしたいと思う人が買うもの。その土地独自の個性ではなく、自然派ワインという味のする(同感!)ワインですね。

 

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